生命保険が経営者を殺す

2013.02.19

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クローズアップ2013:なくなるか個人保証 第三者「人質」の悲劇- 毎日jp(毎日新聞)

「迷惑はかけられぬ」追い込まれ経営者自殺

民法の大幅改正に挑む法制審議会で、中小企業への融資に求められてきた個人保証をなくす改正案が浮上している。背景には、経営破綻に何の責任もない第三者が多額の保証債務を背負い、借り手も追い込まれる「保証被害」が続いてきたことがある。長年の慣習を断ち切り、個人に頼らない仕組みをどう広げていくか、公的な支援の拡充も求められる。

ちょうどニュースで流れてきた上記の記事を見かけて、私が起業してから2年目くらいに「節税」の名の下に生命保険に入るように勧められたことを思い出し、そしてその時にも、生命保険が経営者を自殺に追い込むこともあるな、と感じたことを思い出しました。

この記事でも自殺をしても生命保険が下りるようになったその日に自殺した経営者の話が冒頭に出てきます。日本の経営者の場合、本当に代表取締役(いわゆる社長)が個人で保証してさまざまなことを背負っていきます。一番大きいのは融資(いわゆる借金)ですが、代表者が連帯保証しないで借りられるということはほとんどあり得ません。それ以外にも、会社がなにか損失を出した場合でも、社会的に迷惑をかけた場合でもすべてを代表取締役が背負うことになります。

記事の中で出てくるような話では、ノンバンクから借金をしてまで経営すること自体の是非が問われるとは思いますが、やはり自分が起業した場合など思い入れもあったり、社員がいてその生活があったり、もう少しだけ凌げば道が拓けると思っていたりと、さまざまな理由があって延命処置をしようとするのですが、私が知る限りはノンバンクに融資をしてもらわなければいけなくなって、なおかつその支払期限を延ばすために他のところから融資を受けてしまう「繋ぎ融資」までしてもらった企業で存続できた例はありません。延命処置はあくまで生命維持装置のようなもので、ほとんど生き返ることはないといえます。

その時に、最後の最後に保証人になってくれた親族や知人、取引先や社員などのためにまさに「命を賭して」精算しようとするのが生命保険の死亡保険金をアテにした自殺ということになります。もちろん、生命保険会社に罪はありませんが、社会の仕組みとして、生命保険の制度として、自殺者を生み出しているとはいえるのではないでしょうか。生命保険が自殺による死亡は対象外としていれば、自殺に踏み切ることはありません。本当に万が一の時のために本来の意味での保険としてかけることは良いことだと思いますが、いつか命を賭して精算するための生命保険には入りたくないものです。

私が生命保険に入ったときも、銀行からお金を借りられなくなったら、どんなに苦しくても、悔しくても、思い入れがあっても、その時点で会社は清算しようと心に誓ったのです。

そして、すべての方にアドバイスとしては「どんなに親しくても、親しいからこそ、連帯保証人にはなってはいけない」ということです。人間関係だけでなく、人生までも狂わせてしまうのが連帯保証人です。事業計画は知人や親類に頼らずに立てるべきですし、どうしてもというならば借金をすることは良いですが、連帯保証人をお願いするのはすべてを一緒に背負ってくださいということなのに、株主のように投資に対する配当のような見返りも一切ないままに、リスクだけがのしかかってきます。

最後に、この記事の後半では個人保証を禁止しようという動きもありつつ、そうすると本当にお金を借りられなくなるという現状もあり、なかなか進まないと書かれています。確かに、まったく保証しなくて良いとなった場合に、経営者によっては融資を返却することに対してあまり深く考えない場合があります。ただ、そうすることで、本当に事業計画などで銀行は判断をして融資し企業を応援するようになる訳なので、正しい姿なのかもしれません。そして、どうしても金融機関から資金を集められない場合には、今であればクラウドファンディングなどの直接金融の道も拓けていますから、どんどん活用していくと良いでしょう。

すべては、自分の事業計画、ビジネスプランがしっかりとしていれば、資金調達のやり方はたくさんあるということです。タイトルからは少し離れましたが、結局のところはビジネスの根本がしっかりとしていなければ、何をやっても長くは続かないということなのだと思います。

ここらへんの記事がいまだにトップランク入りしていることを考えると、私が右も左も分からずに多少文献を辿りながら、試行錯誤を重ねて歩んできた道を紹介していくことは、なにかのお役に立つのかなという気もしてきたので、勝手に「Management」というカテゴリーまで作って書いていきたいと思います。どれだけネタがあるのかは分かりませんが、実際に経営してきた話ですから、机上の空論ではありませんので同じような境遇の方には参考くらいにはなるかなと思います。どうぞよろしゅう。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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